不動産にまつわるトラブル解決のための弁護士費用目安と依頼のメリット

代表弁護士 佐々木 一夫 (ささき かずお)

不動産にまつわるトラブルはとても多く、売買契約締結時の説明不足や理解不足、契約書自体の条項不足等が原因となって問題化することが少なくありません。ひとたびトラブルになってしまうと、売買契約の当事者だけでは解決がとても難しくなってしまいます。このような事態を避けるためにも、弁護士の知見を活用することが重要です。

ここでは、弁護士に依頼する場合の費用やメリットについてお伝えします。

「着手金」と「成功報酬」を支払う2段階システム

一般的に、弁護士への依頼にかかる費用は着手金と成功報酬が主となります。弁護士に依頼する際、まずは着手金を支払って契約締結に至ります。

この時弁護士は、交渉や訴訟に至るまで幅広く、依頼者の代理人としての役目を負うことになります。着手金はその性質上、事件解決の結果を問わずかかる費用で10万円~30万円程度であることが多いですが、弁護士事務所によりばらつきが見られます。

弁護士の力を借りるためには、まず着手金を支払って契約関係に至る必要がありますので、不動産問題で依頼する場合の着手金額をきちんと確認し、納得の上で依頼することが大切です。

弁護士は受任すると、依頼者に代わって事件解決に取り組みますが、最終的に解決に至るとそこで成功報酬を支払うことになります。
弁護士の介入により依頼者が手にした経済的利益をもとに、案件ごとに10%や20%としているところが多いですが、弁護士事務所により幅が見られます。

また、どういう状態をもって「成功」と定義するかも事務所により様々であるため、依頼したい不動産トラブルの場合では成功報酬がどれくらいになるのか事前の確認が必要です。

このように、弁護士費用は2段階で支払うのが一般的です。着手金の金額が低い場合は報酬額を多く、着手金額が多い場合は報酬額を低く、というようにバランスを取る傾向があります。

依頼前の相談には「相談料」が発生する

誰でも弁護士にいきなり依頼するには抵抗を感じるものです。
そこで、まずは相談により、弁護士の雰囲気や自分の抱える問題に対する適切な対処の可能性についてアドバイスを受けてみようと考える人が多いと言えます。

この際に発生するのが相談料で、金額は弁護士事務所が自由に設定することができますが、初回相談を無料としているところも多く見られます。
ただし、特定の相談分野や時間を定めて無料とすることが一般的なので、事前に確認しておくことが大切です。無料相談は依頼者の心のハードルを下げてくれる効果があるため、弁護士の力を借りる最初の一歩を踏み出しやすいシステムだと言えます。

相談に行った際最も大切なのは、その弁護士事務所がどこまで親身に対応してくれるか、相談者は見極めることです。自分の話にしっかりと耳を傾けてくれるか、相性は合いそうか、費用が高額すぎたりしないか等、確認すべき点はいくつかあります。
いざ依頼となれば、問題解決までの道のりを二人三脚で歩むパートナーとなるのですから、相談の時間は有効に使うことをお勧めします。

当事務所における初回相談は1時間5000円となっており、2回目以降の相談では30分5000円を頂いています。ただし相談時に依頼を受けた場合は相談料無料となります。相談後の受任であっても、すでにお支払い頂いた相談料を着手金の内金として扱っていますので、ぜひ安心してご相談におこしください。

トラブル解決にかかった実費や出張日当がかかることも

案件解決のために実際にかかった費用を実費と呼び、通信費や印紙代、郵便代などの他、以下の代表的な項目から実費が加算されます。

一般的な実費

印紙代や切手代等:訴訟等の際に必要になる費用で、予め裁判所に支払う必要があるもの。
公的証明書の取得費用:住民票や戸籍、不動産の登記事項証明書等、事件解決に不可欠な公的書類。

書類送付費用:依頼者や裁判所等への書類送付費用。

詳細調査が必要な場合の実費

関係する第三者が有する記録の複製取得費用:裁判所や病院等が持つ詳細記録の複製取得費用。
鑑定費用:不動産鑑定等トラブル解決に必須となる事柄にまつわる費用。
探偵費用:事件解決のために証明力の高い材料を集めるための調査費用。

特殊な実費ケース

  • 通訳費用:日本語が話せない外国人が関係する場合に必要な費用。
  • 証人旅費:訴訟に至った際に証人を呼ぶための旅費。
  • 謝礼:医師の意見書、不動産鑑定士の私的鑑定書等トラブル解決のために特に協力してくれた方への謝礼。
  • 出張費:遠距離移動による弁護士の交通費。

上記はあくまでも代表的な実費項目であり、この他にも案件の性質や業務遂行上必要となった費用については実費扱いとして支払うことになります。通信費用や印紙代等はそこまで高額ではないものの、詳細調査のために不動産鑑定等を利用する可能性がある場合は、事前にその費用概算を確かめておきましょう。

上記以外の費用として、弁護士に対する日当が発生することがあります。遠距離移動を伴う業務について弁護士は実費として出張費を請求しますが、半日〜終日拘束が必要なケースでは、拘束した時間分の日当がかかることもあります。

法の専門家を代理人として交渉できる点こそ弁護士に依頼する最大のメリット

不動産トラブルが発生した時、売買に関わる当事者のみで話し合っても事態が思うように進展しないことが多々あります。お互いに自分の言い分を主張し合うのは当然としても、法的な根拠を持って交渉することが困難なため、話し合いが堂々巡りになりやすいのです。

しかし、弁護士に依頼すれば、法的根拠に基づいた正しい助言をもらえるだけでなく、必要に応じ代理人として相手方と交渉することもできるので、話し合いが非常にスムーズに進みやすいと言えます。代理人とは言え弁護士は第三者ですので、弁護士が介入することによって当事者双方とも冷静になりやすく、事実に基づいて解決を目指す姿勢が生まれます。当事者間の話し合いがこじれてしまった場合は訴訟に至ることもありますが、弁護士がいれば慌てることなく準備を進め自己に有利な解決を目指すことができます。

話し合いも訴訟も、自分一人の力でやろうと思えばできないことはありません。
しかし、不動産業界に特有の専門用語や仕組みを理解しながら交渉に臨むことは非常に大きな労力を要しますし、訴訟ともなればさらに難解な法曹用語や書類作成に苦労することになります。そういった精神的負担を軽減し、問題をできるだけスムーズに解決へ導くことを考えれば、弁護士への依頼には大きなメリットがあると言えるのです。

不動産に関する問題は幅が広く、売買や賃貸、競売等の多様なケースが存在します。
さらに不動産取引には大きなお金が絡むため、トラブルになった際にはこじれやすく解決しにくい特徴があります。
順調で気持ちの良い取引ができることが一番なのですが、売主と買主の利害関係や背景事情も様々であるため、万が一トラブルになってしまった場合に自分自身を守るためにも、予め不動産業界や法的知識の理解を深めておくことはとても重要です。

考え得るトラブルの可能性を考慮して、弁護士に契約書の内容を確認してもらう等、契約段階から慎重に事を進めることが肝要です。

費用面や敷居の高さに対する不安が唯一のデメリット

相談者としては、不動産問題に対する心配と不安を早期に解決したいからこそ、本当はすぐにでも弁護士に依頼したいところです。しかし、弁護士は普段から馴染みのある存在ではないため、特に費用面やイメージ的な敷居の高さに対して大きな不安を感じてしまうのが正直なところです。思い切って依頼しても最終的に費用倒れにならないか、依頼者にとっては大きな心配です。

着手金や成功報酬等についてご紹介した通り、弁護士費用は各弁護士の裁量に任されているため一律ではありません。ですから、どのような不動産問題がありどのような解決を望むかを相談した時点で、弁護士に直接費用を確認することが大切です。
様々なケースにより費用が変化する可能性がありますから、弁護士の説明をよく聞き、費用面での不安を解消した状態で依頼を行う必要があります。

また、弁護士という存在に対する敷居の高さは依頼者にとって精神的プレッシャーに繋がりやすいと言えます。このため、依頼者は身を縮めて言いたいことも言えなかったり、全てを明かすことを躊躇したりしやすいのです。本来、依頼者の代理人となる立場の弁護士には、何事も包み隠さず全ての事実を打ち明けてパートナーシップを構築する必要があるのですが、弁護士が法律の専門家であるだけに、相談する側はかなり身構えてしまいます。そうならないためにも、自分自身が少しでもリラックスできる弁護士を探すことが大切です。

依頼者の立場に立った対応がモットーの当事務所にご相談を

不動産問題を抱えてしまったら積極的に弁護士への相談を検討することをお勧めしますが、その際には、弁護士が不動産問題を得意としていることはもちろん、何よりも相談者に対してどこまで親身な対応を見せるかを注意して見るようにしましょう。相談者がリラックスできるように配慮する弁護士であれば、よく話を聴いてくれますし、質問されたことには丁寧に答えてくれます。

当事務所も「依頼者の方が安心でき、相談しやすい弁護士事務所」を目指しており、常にわかりやすい説明と問題・紛争の迅速な解決を心がけています。依頼者の方からは「とても話しやすく、すぐに解決してもらえて助かりました。相談して良かった」「もっと早く相談していれば、こんな辛い思いをしなくて良かったのに」といったご感想を頂いております。

依頼者と弁護士の密な関係性こそトラブル解決の第一歩と考えているため、相談しやすい環境作りは当事務所のモットーとなっています。「こんなこと相談したら失礼なのではないか」と考えることなく、簡単なことでも遠慮せずぜひご相談ください。